ブティック型フィットネススタジオは今や大きなトレンドとして確立されました。それらのスタジオの親しみやすさを自分たちのクラブにも取り入れようと多くのフィットネスクラブが環境作りに躍起になっています。

ブティック型フィットネスクラブに特化し、世界各国で200社以上のクライアントを抱える大手コンサルティング会社 Indoor Cycle Design に収益と定着率の向上の秘訣について聞いてみました。

著者について

ブティック型フィットネス分野の優れたリーダー、イノベーター、パイオニアとして名高い Barbara Chancey Hoots 氏は、他の追随を許さない象徴的なフィットネス環境のクリエーターでもあります。15 年以上の実績、業界の豊富な知識と卓越したデザイン技術力を活かし、形状、機能性、安全性が十分に考慮された優れたデザイン性で数々の賞を取ってきました。

彼女の強いエネルギーが伝染してスタジオに生命の息吹が吹き込まれるのでしょう。

1.常に発展、向上し続ける

成果を上げているブティック型フィットネススタジオは、自信のある一つの分野に集中し、小さいながら確実な基盤を築いています。「新しいもの」には勢いがありますが、その勢いは持続しません。そのため、勢いを生み出して会員を飽きさせないようにするため、2、3ヶ月おきに新しい要素をうまく織り込みます。バイクの車輪と同様に、組織の輪も常に回し続けなければ前進できません。ブティック型フィットネススタジオにはイベントプランナーの存在が必須です。

2.統一感を図る

インドアサイクリングはさまざまな形で使えるため、成果を上げているブティック型フィットネススタジオは、一貫性を保つため、合図などの言葉遣いを統一し独自に運用ガイドを作成しています。これにより、インストラクター同士のコミュニケーションに相違や混乱が生じることなく、どのクラスも統一した内容が保たれます。

3.理念に基づく人材選び

Simon Sinek （モチベーションスピーカー兼マーケティングコンサルタント） は、「企業理念に賛同する人材を採用するのが成功のコツ」であると述べています。

パーソナルトレーナーやヨガインストラクターからフロントデスクに至る従業員全員が、自分たちのクラブのサイクリングプログラムは町で一番だと信じて取り組めば、クラスはいつでも満席になるはずです。一番ではないと思っているとクラスの参加者は徐々に減り、クラブは理由も分からず戸惑うことになるでしょう。

4.フロアはいつも綺麗ですっきり、マシンのダウンタイムも最小限

サイクリングスタジオは安らぎの場所です。クラブの意識の低さを表すサイン（故障のため使えないバイクがある、フロアが散らかっているなど）があってはなりません。何度修理しても直らないバイクや、声の聞きにくいマイクや調子の悪いスピーカーなどはありませんか？成果を上げているブティック型フィットネススタジオは、予備のバイクを保管していますし、高い音響効果がスタジオを盛り上げることを理解しています。

5.イベントを企画する

成果を上げているブティック型フィットネススタジオは、定期的にメール配信を行い、テーマライド（Justin vs. Britneyなど）やチャリティーライドなどのイベントの告知やゲストインストラクターの紹介などを行っています。ブライドライド、バースデーパーティーライド、法人向けのライド、ティーンライド、リカバリーライドなどバラエティに富んだライドイベントを企画しましょう。

6.空席を作らない

成果を上げているブティック型フィットネススタジオは、空席がクラスの価値を落としマイナスのエネルギーが広がることを理解しています。空席ができた場合は、アシスタントや研修中のインストラクターで埋め、クラスの士気を上げます。バイクのセットアップを手伝ったり、新入りのライダーに声をかけたりもします。

7.選曲にこだわる

「サイクリングプログラムはインストラクターとプレイリスト次第」と言われています。

成果を上げているブティック型フィットネススタジオは、プログラムが選曲に大きく左右され、ありふれたプレイリストでプログラムが不評となりかねないことを理解しています。ミキシングや音響の演出を学べるワークショップなどを利用するのも良いし、ミキシング作業の分からないインストラクター用にミュージックマスターを設けているスタジオもあります。

8.シューズとグッズ

膝の怪我防止とパフォーマンスの向上のためにサイクリングシューズの貸し出しを行いましょう。シューズ代はクラスの料金に含めるか、安く貸し出します。スパイクシューズを履いて滑らかな床を歩く場合は足場が不安定なため、転倒防止策を講じ、訴訟沙汰を避けられるようにしましょう。

ロゴ入りのフィットネスグッズは大きな収益源になります。ブランド化を図るため多くのスタジオが種類豊富な商品を扱っています。特徴的な気風を創り上げたい場合は、アパレル用品につけるキャッチコピーやスローガン、デザインに工夫を凝らしましょう。

9.マナーとエチケット

成果を上げているブティック型フィットネススタジオは、時間が貴重であることを認識し、時間通りにクラスをスタートさせます。遅れて来た場合、ライドが始まってからはスタジオには入れません。また、クラスではライダー同士が互いに尊重し合う気風が確立されています。クラスが始まってから携帯電話の使用と私語は禁止とします。また、クラス終了前の3 分間が決め手となります。インストラクターはドアの脇に立ち、スタジオを出る人たちに、丁寧に挨拶をしましょう。

10.きわめて機能的なスタジオデザイン

ブティック型フィットネススタジオデザインを 10 年以上手掛けてきた経験から、私はインストラクターの視点からサイクリングスタジオをデザインするようにしています。そのため創造性を触発するツールや極度の疲労を防止するツール、スタジオへの愛着をもたらすようなツールなどを数多く取り入れます。万全の機能性を備えたマジカルなサイクリング「シアター」にするため、細部まで配慮を行き届かせます。

チームライド用の大きなステージから、マジックミラーの後ろの隠れたイルミネーション、背景のディスプレイスクリーンに至るまで、プログラムの成果につながる知覚的な要素がスタジオには溢れています。クラスが毎回まったく新しい体験となるよう工夫しましょう。